衛生管理の考え方
院内のゾーン区分(清潔ゾーンと不潔ゾーン)

感染対策には完全が求められます。一つでも穴があればそこから汚染が広がってしまうからです。たとえば治療中の歯科医師の手は患者さまの唾液や血液などに汚染されています。つまり不潔な状態です。ですからその汚染された手で院内の他の場所を触ってしまったら、院内がすべて唾液や血液で汚染されてしまいます。


ですから当院では、いったん治療が始まったら歯科医師は用意された器具ときめられた場所以外は一切触りません。他に必要な器具がある場合は、必ず歯科助手が用意するのです。逆に歯科助手は患者さまの口腔内や汚染された器具には一切触りません。
このようにして、治療中の患者さまの唾液や血液で汚染された場所=不潔ゾーンと、そうでない場所=清潔ゾーンとを明確に区分し、歯科医院の衛生環境を守っているのです。


このゾーン区分は治療の後片付けにおいても重要です。汚染された器具を片付けるときには汚染された器具を完全に隔離された状態で消毒・滅菌していかなければ、汚染を拡げてしまいます。ゾーン分けができていなければ院内はきわめて不潔な環境となり、どんな感染対策をとろうがまったくの無意味です。


衛生管理において他の患者さまと並行して診療しないことも極めて重要です。歯科医師が複数の診察台を行ったり来たりする状態では厳密なゾーン区分が困難になりますし、すぐ隣で他の患者さまの歯が削られて「削りカス」や「唾液」、「血液」が飛び散っているような不潔な環境では、良い医療をあなたに提供できません。そのような不潔な環境では、どんな最新の医療も綺麗な院内の内装もまったくの無意味です。


また当院では、器具の衛生管理にも全く手抜きがありません。近年、不潔な歯科医療によってHIV(エイズ)やウイルス性肝炎などに感染するリスクが報告されています。当院ではお口の中に入る器具はすべて滅菌処理した清潔な器具か、使い捨て(ディスポーザブル)の器具を使用していますので、院内感染対策は万全です。


このゾーン分けのルールは、クリーンな院内環境を構築する上で、最も基本的かつ重要で、必ず守られなければなりません。